読んだら書きたくなりました vol.117 | 2019年 | 各サービスの話題、スタッフのコラム、イベント告知、注目の書籍紹介など、お役立ち情報やおもしろ情報を発信しています。

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ぷれす通信

読んだら書きたくなりました vol.117

『伝説の日本史 第3巻 戦国軍師列伝 歴史をつくった陰の主役たち』

井澤元彦 光文社文庫

「伝説の日本史」シリーズの第3巻は戦国軍師。軍師とは、大将のそばで策略や戦略を立てる人物のことです。山本勘助、竹中半兵衛、黒田官兵衛らは有名ですが、表だって活動しないため記録に乏しい面もあり、教科書で取り上げられることも多くないので親しみはないかもしれません。山本勘助でさえ、30年くらい前は学者から架空の人物とされていたくらいです。しかし井沢氏はその頃から勘助の存在を確信していました。なぜなら古文書の細かな記述よりも、人間の心理の濃やかさから存在を分析していたからです。そんな井沢史観に則り、上杉謙信や豊臣秀吉らとその軍師たちの関係を読むと、歴史が血の通った物語として立ち上がり、人間の息遣いが伝わってきます。読後、日本史を形作ったのは実のところ軍師たちなのではないかと思うくらいです。こう動くことによって、相手がどう反応し、民衆はどちらを向くかなどの説明を読むと、現在のビジネス戦略の視点にも役立てることができます。歴史から学ぶことは尽きないものです。(かつ)

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『東京観光』

中島京子 集英社文庫

7編の短編集です。夫から人間の鼻の進化や消滅について科学的なアプローチで説明された主人公は、鼻のことが頭から離れなくなり、鼻にまつわる夢も見るほどになってしまいます。夫婦の軽快な会話が楽しい「コワリューフの鼻」は、夫に隠している秘密をゴーゴリーの名作「鼻」を引き合いにしながら、夫婦の新たなつながりを描きます。「ポジョとユウちゃんとなぎさドライブウェイ」は、彼氏に振られた幼馴染のユウちゃんに、彼氏の代わりに旅に引っ張り出されたポジョの女子旅ドタバタ珍道中。途中で現れる詩人や外国人が笑かしてくれます。どうして自分はポジョというあだ名になったのか、自身を掘り起こすテーマで、ラストシーンにほっこり。最初に掲載されている「植物園の鰐」は入り組んだ構造になっていますが、あとの作品はどれも読後の澄み切り感がよく、またしみじみと思いを馳せたりと、短編集の良さがあらわれています。「シンガポールでタクシーを拾うのは難しい」も「コワリョーフの鼻」と同じく、夫婦を描いた作品でおすすめです。(くろ)

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