ぷれす通信

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読んだら書きたくなりました vol.103

『私でもスパイスカレー作れました!』

こいしゆうか、印度カリー子 サンクチュアリ出版

カレーは好きですが、スパイスカレーは家で作るものじゃない、と思っていました。ですがこの本は「本格的で難しそうだし、面倒くさそう……」という先入観をきれいに払拭してくれました。まずなんといってもスパイスは3つあればOKというから驚きです。調理時間は20~30分、フライパン1つ、使う食材は基本的にメインが1種類というのもすごくラク。しかもそのメインは肉でも魚でも厚揚げでもおいしいカレーになってしまうというのです。スパイスカレーのイメージが覆されました。そのうえ小麦粉や油を使ったカレールウとは違い胃にも優しいとくれば、俄然興味が湧くというもの。私は使用頻度の低い調味料をいくつも置いておくのが苦手なので、まず買うことを躊躇してしまうのですが、こんなに簡単なら継続してスパイスカレーを作れるのでは? スパイス3つくらい買ってみてもいいかも、と思えちゃったのですよね。マンガ形式で段取りもわかりやすいし、素朴な疑問にも丁寧に答えてくれているので、初心者でも安心して一歩を踏み出せそうです。(くろ)

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『二十歳の原点』

高野悦子 新潮文庫

齢20という若さで自ら命を絶った高野悦子さん。本書は彼女が生前に書き留めていた日記を書籍化した3冊のうちの1冊で、大学2年生から自殺の2日前までを収録しています。没後50年を迎えた先月、双葉社からコミック版が発売されたことから彼女の存在を思い出し、再読しました。「はっきりしていることは、己れが存在し、矛盾と混沌に満ちておるということだ。それは、己れが現代に生きる人間、もの、動物、すべてが商品となって非人間的、物化、機械化され、資本という怪物により支配されているという矛盾であり混沌である。考えることも感じることも、行動することも、支配されている現代の人間。いかにして現代社会から人間をとり戻すのか」。彼女が求める人間像は、他の何者からも支配されず、何事も主体的に選択し行動する存在のことのように思われます。自分を従わせんとする万物への恐れ。彼女にとって、死まで自分の意志によって選択することが生を全うすることだったのでしょうか。予想の域を出ませんが、他者の存在があるからこそ自分という存在を認識できる事実だけでは心許なかったのかもしれません。青年期ならではの思考と一蹴できないものがあります。孤独で未熟。学園紛争や恋愛といった日々の出来事の中で、そんな自分という人間を知るために感情を仔細に見つめ、それを虚飾なく言葉にする表現力に魅せられながら、自身を投影して読むことができるのではないでしょうか。(かつ)

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