ぷれす通信

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読んだら書きたくなりました vol.94

『マンガでわかるオーラルフレイル』

大久保満男・飯島勝矢 主婦の友社

最近ちらほら耳にするようになってきたフレイル。「高齢者における健康状態と要介護状態の間に位置する虚弱な状態」のことを意味します。社会的フレイル、身体的フレイル、心理的・認知的フレイルと、さまざまなフレイルがありますが、本書では口腔機能の虚弱な状態「オーラルフレイル」にフォーカスしています。ところで、自分の歯の本数って把握されてますか? 最近、歯医者に行かれたのはいつですか? 私はどちらにもはっきり答えられません。本書では、オーラルフレイルが認められた高齢者は要介護や死亡リスクが2倍になるという調査結果が紹介されています。口腔内の状態が悪いと認知症になるリスクが高まるなんて衝撃的でした。また、このオーラルフレイルは早くからの予防が肝要なのだそうです。私は、いまこの本と出合えたのをラッキーと思って、数年ぶりに歯医者の予約を取りました。先の質問に答えられなかったあなた、未来の自分のために、本書を読んで歯医者に行くことをおすすめします!(まち)

『空気を読んではいけない』

青木真也 幻冬舎文庫

本書は格闘家・青木真也の経験に端を発する惹句と、それにまつわるエピソードという構成で、金言集と自叙伝の要素を併せ持った作品です。本書を読むに際して、「空気を読む」の意味を改めて辞書で引いてみたところ、「その場の雰囲気をくみ取る」とありました。わざわざ調べるまでもないと思った人が多いと思いますが、私が確認したかったのは、「空気を読む」自体に「同調する」「迎合する」といった意味は含まれているのか、ということです。実際は上記の通り、書かれていません。きっと多くの人は無意識に「合わせる」ことを「空気を読む」に付加して解釈しているのではないでしょうか。「空気を読む」を「空気を読んで合わせる」と認識している人が多い社会がすべて悪いわけではありませんが、それが個を脅かすことにつながるなら、いっそ「空気を読んではいけない」ものとし、他に同調せず、個を尊重することを是とする方がよいのではないか。極端な表現ではありますが、そんな気づきをタイトルだけでもたらしてくれた点でも本書の価値は大きいですし、又、その内容にしてもやはり感化される事柄が多々ありました。「自分の考え方が汚されるから、人と食事には行かない。」「感覚の違う人はさっさと『縁切り』する。」など、タイトル同様、挑発的な表現が並んでいますが、それらはひとえに「自分」の大切さを強く訴えるもの。一回きりの自分だけの人生をいかに自分らしく生きるか。「我がまま」の尊さを認識させてくれる本でした。(くろ)