ぷれす通信

communication

読んだら書きたくなりました vol.9

『ちいさな城下町』

安西水丸 文春文庫

文字通り「ちいさな城下町」を訪ね歩いて、史実やご自身の思い出を綴っています。もちろんイラストレーションも雰囲気満点。有名すぎず、かといってまったく無名でもない場所を選んでいるのがよいですね。歴史的出来事と同時に独自の考察を繰り広げ、最後は車窓から見える様子や心象風景で締めるあたりが余韻を残してくれます。(かつ)

『ショートショート・BAR』

田丸雅智 光文社

ショートショートというと、結末が皮肉っぽかったり、おそろしかったりするもの、というイメージがありました。この本には、そういうものもありましたが、優しい気持ちになれたり、クスッと笑えたりする終わり方のものもありました。「結末を多彩に描ける」のは作者が深く物事を見ていて、豊かな表現力を持っているからではないでしょうか。一作読んで一呼吸するたび、次はどんなお話だろう、と楽しめます。(いく)