ぷれす通信

communication

読んだら書きたくなりました vol.7

『ホテルローヤル』

桜木紫乃 集英社文庫

「ホテルローヤル」というラブホテルを軸にした連作小説。どの作品も男女の湿った空気が漂ってはいるものの、日々の人間の営みがしっかりと描かれているので、いやらしさは感じません。廃墟と化した「ホテルローヤル」は、タイトルごとに時間軸を遡り、最後の作品でようやく開業の経緯が明かされます。そのため、読み進むにつれて既読の作品がバックグラウンドとして物語の世界を広げ、最終的には総合的な一つの作品へ昇華する仕掛けがあります。読了後、今度は後ろのタイトルから読んでいくとまた違った雰囲気を味わえる一冊。カバーの雰囲気も、この本にはこれしかないという出来。(くろ)

『ブラパン100』

株式会社ワコール ビー・エヌ・エヌ新社

親しい友人ともなかなか話すことはないけれど、実は気になる下着にまつわる疑問や本音が、ぎっしり詰まっていて読みごたえがありました。とくに「おていれ編」「からだ編」には頭の下がるような美意識の高いコメントがあり、楽しく読みながら自分自身のことを振り返る、いいきっかけにもなりました。(まち)