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ぷれす通信

2014年8月号

デッドゾーン 引き合わせ校正の技

原稿作成からゲラ出しに至る工程がほとんどデジタル化した現在では、原稿との引き合わせ校正を行う機会はめっきり少なくなりました。しかし、だからといって絶滅したということではありません。絶版本の電子書籍化作業や組版ソフトの入れ替え作業、初校で大量に入った朱筆を再校と照らし合わせるときなど、まだまだ引き合わせ校正の技は必要なのです。
むしろ、それが校正という仕事の本源と考えたほうがよいでしょう。なぜなら、「出版」とはオリジナルのものを複製し頒布することであり、校正の役割は、オリジナルが間違いなく複製されているかどうかをチェックすることにあるからです。引き合わせ校正は、校正者の基本と言われる所以です。
では、校正者の皆さんはどのように引き合わせ作業を行っているでしょうか。「文章として読んではいけない」とは、この作業の注意点としてよく耳にすることです。文章として読み進めてしまうと一字一句の照合に「勝手な読み方」が紛れてしまい、必ずと言っていいほど見落としを招くことになるからです。「読まない」引き合わせ作業をどのように行っていくか、人それぞれの工夫があると思いますが、「読み合わせ」を取り入れてみるのも有効な方法です。
 実際に筆者が某月刊誌の現場で経験したのは、1人が声を出してゲラを読み、もう1人がそれを引き合わせ元の原稿等で確認するという読み合わせ校正です。読み手はゲラの状態が聞き手に正確に伝わるように、漢字をわざと音読み(または訓読み)したり、記号類などの約物、字下げ、改行などもすべて読み上げていきます。例えば、こんな具合に……。

人(ニン)それぞれの工(コウ)夫(おっと)があると思(シ)いますが、(テン)「(カギ)読(ドク)み合(ゴウ)わせ」(ウケ)の手(て)法(のり)を取(シュ)り入(ニュウ)れて

 いかがでしょう。同じことを1人で引き合わせ校正する際にもやってみると、意外に集中力が高まり、しかもテンポよく作業を進められると思います。機会があれば試してみてください。(ち)

この一冊!『学校では教えてくれない! 国語辞典の遊び方』

<h3>2014年8月号</h3>
『学校では教えてくれない! 国語辞典の遊び方』

サンキュータツオ 著
角川学芸出版/223ページ
ISBN-10: 4046532742
ISBN-13: 978-4046532749
価格 1300円(税別)

誰でも一度は手にしたことがあるであろう国語辞典。校正する際にもなくてはならない、身近な存在です。書店に行くと、多くの種類の国語辞典が並んでいます。どれを選んでよいかわからず迷うことも多いのではないでしょうか。
本書は、「大学のゼミで辞書の個性に目覚めて以来、数々の国語辞典を読み比べてきた」という、芸人で、大学非常勤講師も務め、辞書200冊を所持する「辞書オタク」サンキュータツオ氏が、国語辞典の個性の分析やルーツを紹介、国語辞典の「遊び方」を楽しく解説しています。
国語辞典を1冊ではなく複数持って読み比べることをすすめ、特に比較することの楽しさを例を挙げて説明。例えば「うつくしい(美しい)」の解説を複数の国語辞典で読み比べると、時間の感覚が導入されていたり、詩的な表現を用いていたり、「きれい」とどう違うかということまで具体的に書かれているものもある。
また、「新解さん」こと『新明解国語辞典』における版ごとの「恋愛」の語に関する解釈の変遷は、多くの版を持っていてこそできる分析で、とても興味深いものです。「新解さん」の独特の語釈がより具体的になっていく過程がよくわかります。
国語辞典のルーツについても触れており、現在のように多様化した経緯が述べられています。編者、出版社の文法に対する考えについても踏み込んでいます。
冒頭には「オススメ辞書占い」があり、タイプ別に11種類(それぞれキャラ設定されています!)の国語辞典が示されていて、自分にぴったりの一冊を知ることができます。
仕事では調べ物のツールとして使うことがほとんどで、最近は電子辞書ですませてしまうことも多いですが、読み進めるうち、紙の国語辞典をじっくり読んで楽しみたいと思わせてくれます。「シングルの音楽CD1枚分の価格」で買える、内容が詰まったお得感たっぷりの国語辞典。手もとに国語辞典が1冊しかなければ、そこに書いてあることがすべてと思ってしまいがちですが、1冊加えて視野を広げ、仕事の相棒としてだけではなく、たまには読み物として楽しんでみてはいかがでしょう。本書にはそんな国語辞典の魅力が熱く語られています。(I)

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