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ぷれす通信

2013年6月号

デッドゾーン 頭語と結語

先日、末尾に結語の「草々」のみ書かれたメールを頂戴しました。以前勤めていた会社で、パーティーの案内状を校正したとき、手紙の書き方についてのウェブサイトや指南書を見ながら作業したことが懐かしくなりました。

 今回は手紙文の形式につきものの、頭語と結語の関係をちょっとおさらいしてみたいと思います。

 よく知られている頭語に「拝啓」「前略」がありますね。それぞれどのような意味だかご存じですか?
 拝啓:≪謹んで申し上げます、の意味≫手紙の初めに記す挨拶の語。
 前略:手紙文で、冒頭の時候の挨拶などを省略する意味に用いる語。
 では、対応する結語についてはどうでしょうか。
 敬具:≪謹んで申し上げます、の意味≫手紙文の末尾に用いる語。
 草々:手紙文の末尾に書き添える語で、急ぎ走り書きをしたことを詫びる意味。

 メールでは頭語や結語を省くことが多いので、使い方や意味も次第に忘れられていくのかもしれません。しかし改まった手紙を書く場合にはまだまだ必要ですし、実用書や小説・エッセイなどで目にすることもあります。校正者としては最低限知っておくべきでしょう。

 今回改めて「草々」を辞書で調べていたところ、隣に「草々不一」という結語が目に入りました。
 草々不一:手紙文の末尾に添える。走り書きで思いが十分ではないという意味を表す。
 不一:十分に意を尽くしていないことを表す。手紙の最後に添える語。
 上記以外にも頭語と結語にはたくさんの種類があります。皆さんも調べてみてはいかがでしょうか?(M)

「大辞泉」http://dic.yahoo.co.jp/
「手紙の書き方大事典」http://www.letter110.net/tougoketugo/

この一冊!『日本語は「空気」が決める ~社会言語学入門』

『日本語は「空気」が決める ~社会言語学入門』

日本語は「空気」が決める ~社会言語学入門
石黒圭 著
光文社新書(2013/5)
新書判/293ページ
ISBN 978-4-334-03746-8
価格 882円(税込)

社会言語学、という言葉を見聞きしたことはありますか? 私たちは、ある人に出会ったとき、その人がどのようなグループに属しているかを外見などから判断し、それらを基に、どのような種類の言葉を使うかを想像しています。言葉にはたくさんの種類があり、出身地や性差、職業、社会階層、状況などによって多様に使い分けられています。その実態を研究する学問が社会言語学です。

 社会言語学は「言葉選びの科学」です。お葬式では「厳粛な空気」に支配され、人々は深刻な表情で重い言葉を交わします。大学でディベートを課された際には、相手を説得するのにふさわしい言葉やトーンが必要とされます。私たちはこのような「空気」に応じて、その場にふさわしい日本語を使います。ぷれすに電話するときは「校正スタッフの○○です」と言い、出版社に電話するときは「ぷれすの○○です」と言い、子どもの通う幼稚園に電話するときには「ばら組の○○△△の父です」と名乗る。これもまた、空気を読んでいるのです。

 ところで、社会言語学には、「無標」「有標」という概念があります。「無標」は「特殊な条件がなければ自動的に選ばれる標準」、「有標」は「特殊な場合に選ばれる目立つもののこと」です。ふつうの場合が「無標」、特別な場合が「有標」です。――面白い例が載っていました。ふつう「肉まん」といえば、豚肉を使用したものをいいます。これが無標です。もし牛肉や鶏肉を使用していれば、「牛肉まん」「鶏肉まん」となるでしょう。これが有標です。しかし、関西では「肉まん」は「豚(ぶた)まん」と呼ばれます。関西においては、肉といえば牛肉が無標で、豚肉は有標です。したがって、関西で肉じゃがの肉といえば牛肉。「初めて牛肉の肉じゃがを食べた」と言う人がいたら、その人は東日本出身者かもしれません。このように、無標・有標から相手がどのようなグループに属しているかを推察できます。

 その場を支配する空気を読み、どのような言葉遣いがふさわしいのか判断するセンスを磨くために役立つのが社会言語学です。ぜひご一読を。(S)

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