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ぷれす通信

2013年4月号

デッドゾーン ゴツゴツと刻むように読む

朝日新聞社が有料で提供する情報サービスの配信サイト「Astand」掲載の「ことばマガジン」。その中に「こつこつコウエツ」というコラムがあります。2013年2月20日に掲載されたコラムの後半の「斬って潰して」がとても興味深かったのでご紹介します。

 朝日新聞では赤鉛筆で傍線を引きながら校正をしているようなのですが、次のような一文がありました。

 「入社当初『漫然と線を引かないこと』と教わりました。行に沿ってスーッと一本線を引いていると、誤字・脱字・衍字(えんじ=誤って入った不要な文字)などに気付きにくいのです。私の場合は、文章を『熟語』や『てにをは』で切って線を引くようにしています」

 このあと例をあげて、
 「『避難/所/を/転々/とし、/昨年、/仮説/住宅/に/入った/』のように赤い線で区切りつつ、頭のなかで、ひなん=避難・非難→避難OK、しょ=所・署→所OK、てんてん=転々、点々→あれ点々だっけ?いや転々OK、さくねん=掲載日2013年だから2012年を指すが矛盾ないか?、かせつ=仮説、仮設、架設→「仮説=仮に組み立てた理論」のはずはないからここは『仮に設置した=仮設』」

 という具合に読んでいくと書いてありました。

 コラムの最後に「スラスラとでなく、ゴツゴツと刻むように読んでいます」とあるのですが、このゴツゴツ読みなら、ゲラの見落としもずいぶんと減ることでしょう。自らの反省としてですが、見落としは、先を急ぐあまりスラスラ読みになっているために発生するのだと思うからです。

 朝日新聞のように赤鉛筆で線を引いたり区切りを入れたりすることはできませんが、心の中で区切りを入れて、じっくりゴツゴツ読んでみてください。(M)

こつこつコウエツ
http://astand.asahi.com/magazine/kotoba/kotsukotsu/2013021500011.html

この一冊!『新編 日本語誤用・慣用小辞典』

『新編 日本語誤用・慣用小辞典』

国広哲弥 著
講談社現代新書(2010/1)
新書判/328ページ
ISBN  978-4-06-288033-6
価格 819円(税込)

本書は「読む辞典」です。日本語の数々の誤用を、書籍や新聞等から広く取り上げ、なぜそのような誤用に至ったかを分析し、その過程を解説しています。

 例えば「遮二無二」。「しゃにむに」で一語(無活用語)ですが、「しゃにむな」「しゃにむの」「遮二無二な」などの実例を挙げ、こうなった理由として、「むやみ-に」「がむしゃら-に」のように「語幹+に」なのだと誤って分析(異分析)し、「-に」を活用した(「遮二無二な」の場合は「しゃにむに」全体をひとつの語幹として「-な」をつけて活用した)のだとしています。

 校正の仕事の役に立つのは「混交表現」の実例でしょう。「混交表現」とは、「似た意味の言い方が二通りある場合、意味が似ているとか、表現の一部が共通であるがゆえに途中でまじり合ってしまい、表面的には奇妙な意味の表現になってしまう現象」をいいます。

 以下に混交表現の例を挙げます。

 いやが応にも/明るみになる/怒り心頭に達する/喝采を叫ぶ/口先三寸/好評を取る/失地挽回/知ってか知らずか/寸暇を惜しまず/例外にもれず

 ――正しい表現は何でしょう? どんな表現がまじり合ってできたのかわかりますか? 答えはここには記しませんので、辞書で調べてみてください。

 そのほか、意味の誤用(例:「おざなり」と「なおざり」、「事実上」と「実際は」)、語形の誤り(例:荒らげる→荒げる)や漢字の誤記(例:痛みに絶える、恩の字)、漢字の誤読(例:屢々)、誤用のようで誤用でない場合(例:コーラスを流す)なども取り上げられており、日本語の誤用のパターンを俯瞰することができます。

 ふだん仕事をしていて「あれっ? この表現でいいんだっけ?」と思うことはよくあるでしょう。それらの疑問を解決してくれるのが本書です。詳細な索引がついているので引くこともできます。お手元にぜひどうぞ。(S)

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