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ぷれす通信

2011年8月号

デッドゾーン 季節のことば

梅雨明けが例年より約2週間も早かったかと思えば、戦戦兢兢とさせられた超大型台風6号(マーゴン)が何者かに操られるように首都圏直撃コースから逸れていき、この辺りから梅雨に逆戻りしたような空模様が続くなど、今年の季節の移り変わりにはどうも妙な感じがしています。
 と、前ふりとしてはやや強引でしたが、今回の話題は間違いやすい季節のことばです。

まずは照りつける太陽の下、アスファルトの表面に水が張っているように見えるのが【逃(にげ)水(みず)】。近づくと水が先へ逃げていくように見えることから名付けられた現象ですが、季語としては春なんです。これと似たような現象に【陽炎(かげろう)】がありますね。太陽の光で地面が暖められ、水蒸気が立ち上ることで遠景が揺らめいて見えることを指しますが、こちらも陽射しが徐々に強まる春に使われます。

暑さが去り秋が訪れると、無風の晴れた夜、放射冷却によって空気中の水分が草木の葉に水滴となって現れます。これを【露(つゆ)時雨(しぐれ)】といいます。間違っても【梅雨】の季節を表すとか、ぱらぱら降る雨と勘違いしてはいけません。また、単に【時雨】なら、季節は冬となりますのでご注意を。

字面と意味が合わないことばを挙げるなら、【麦(ばく)秋(しゅう)】や【小(こ)春(はる)】が代表的なところでしょう。【麦秋】は麦の穫り入れが行われる初夏。【小春】は冬の初め(陰暦十月ごろ)の暖かな日和、まるで春の気分が味わえることからできたことばなのでしょう。最後は【氷(ひ)雨(さめ)】。文字どおり冬の季節を表しますが、元来、雹(ひょう)の意味も持つ夏のことばです。「ひょう」は「氷」の音をあてたとも、「氷雨(ひょうう)」が転化したとの話もあります(「スーパー大辞林3.0」)。“当然”冬でしかないと思ったあなた、カラオケの歌いすぎです。(Z)

この一冊!『ほめことば練習帳』

『ほめことば練習帳』

ほめことば練習帳
山下景子 著
幻冬舎(2008/3)
202ページ/新書判
ISBN 978-4-344-98076-1
798円(税込)

先におことわりしておきますが、この本が直接校正に役立つというわけではありません。ただ、豊かな日本語表現を相手にすべき校正者として、さまざまなバリエーションが存在する褒め言葉のニュアンスの違いに、少しでも多く触れておくことも意義あることじゃないかと思いまして。決してネタに困ったからじゃありません…。

例えば、「微妙」。「ビミョ~」のように、今はやや否定的な意味で使われますが、元々「この上もない、ほめ言葉」なのだとか。「美しさや味わいが、奥深く、優れていること」で、「今でも、『みみょう』と読めば、こちらの意味にな」る…。へぇ~! これを知っているだけで校正力がちょっとアップした気がしません?

感心ついでにもう一つ。みなさんは「利口だね」と言われて素直に喜べます? なんか小馬鹿にされているような印象はないですか。それもそのはず、「利」は「作物の刈り取りを意味し」ていることから刃物の鋭さを、「転じて、すらすらと、なめらかにいくという意味を持つようにな」って、「『利口』は、口が達者なこと。それも、どちらかというと、口先だけで、誠実さがない場合に使う」のだとか。ん~、そうだったのか。勉強になるなぁ…。

語彙力アップとともに、ウンチクも楽しめる一冊です。

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