ぷれす通信

communication

2012年9月号

デッドゾーン ハイフンと二分ダーシ

校正をしていて間違いやすいのが「-」と「–」、ハイフンと二分ダーシですね。ハイフンは幅が三分から四分くらい、アルファベットの小文字の天地中央でやや太め、二分ダーシは幅が二分、仮想ボディの天地中央にあり線は細めです(本通信はWordで作成しているのでずれています)。

 

使い分けはわかりますか?

 

大まかに言うと、ハイフンは言葉と言葉をつなぐものです。語と語をつないで、x-heightといった複合語ないし連語をつくったり、play-ingのように単語を分綴したりするときに使用します。

 

したがって、二分ダーシは上記以外の用法で使うと覚えておけばよいでしょう。主なケースを挙げると、起点と終点の幅を示すアラビア数字pp.10–20や、欧文June–Julyなどに使用します。

 

Wordでは、二分ダーシは“挿入”→“記号と特殊文字”→“その他の記号”→ “特殊文字”で「半角ダッシュ」を選択して入力するのですが、入力されたこの記号はあくまでもWord上のもので、データ保存時にテキストデータとして保存すると化けてしまいます。

 

“その他の記号”→ “特殊文字”で「半角ダッシュ」を選択して入力するのですが、入力されたこの記号はあくまでもWord上のもので、データ保存時にテキストデータとして保存すると化けてしまいます。

 

テキスト文書では、「-」(半角ハイフン・マイナス)、「‐」(全角ハイフン)、「-」(全角マイナス)、「―」(全角ダッシュ)、「ー」(長音)が入力でき、これら複数の似た記号が混用されている場合もあるので、校正時にはよくよく注意しましょう。

 

DTPの場合、二分ダーシは特殊文字を使わなければ入力できないそうです。原稿整理時に「ハイフン」「二分ダーシ」の別をきちんと指定したうえでゲラが出てくるはずですが、指定もれや入力ミスがあるかもしれません。目を光らせて、しっかりとチェックしなければなりませんね。

 

公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)の公式サイトにも解説が載っていますから、参考になさってください。(M)http://www.jagat.jp/content/view/3554/250/

この一冊!『日本語ってどんな言葉?』

この一冊!『日本語ってどんな言葉?』

『日本語ってどんな言葉?』

日本語ってどんな言葉?

佐々木 瑞枝 著

ちくまプリマーブックス(1996/3)

208ページ/B6判

ISBN 978-4-4800-4197-5

1,260円(税込)


本書は、留学生に日本語を教える著者が、彼らとのやりとりの中から浮かび上がる日本語のおもしろさや難しさを綴ったものです。

 

私たち日本人なら小さなころから聞き覚えて自然に使い分けられる言葉でも、留学生には難しい言葉もあります。

 

「~の間」と「~の間に」の使い分けは、

 

・トムが昼寝している(間・間に)私は静かにしていた。

・外出している(間・間に)荷物が届いていた。

 

などの例文を示して、「~の間」の後に来るのは継続した動作であるのに対し、「~の間に」は一過性の出来事が来ることを教えています。

 

「~まで」と「~までに」の違いもこれと似ています。「~まで」の後には継続した動作が来るのに対して、「~までに」の後には瞬間的な動作が来ることが多いそうです。「花が咲く」を瞬間的な動作として使うときには、例えば「クリスマスまでに咲く」となりますが、継続した動作の場合は、今咲いている花が「クリスマスまで咲いていますか」となります。「に」の役割が浮かび上がってきそうですね。

 

このような、日本人の子どもなら小学校入学時くらいには使い分けられるようになっている言葉、学校で取り上げることもない「文法」が、外国人にはとりわけ難しいと著者は書いています。

 

そのほか、日英韓それぞれの言語の敬語表現についてや、西武新宿線の上井草駅はなぜ「上」なのかなど、たくさんの話題が紹介されています。「上」井草の理由は、井草は正保年間に二カ村に分けられ、京(現在の京都)に近い方を上、遠い方を下にしたのだそうです

 

外国語として日本語を見ると、ふだんとは違った顔つきに見えてきます。

 

著者と留学生との生き生きとした交流や日本語をめぐる会話が楽しい本です。(S)