ぷれす通信

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読んだら書きたくなりました vol.113

『47都道府県の歴史と地理がわかる事典』

伊藤賀一 幻冬舎新書

47都道府県それぞれの基本データ(人口・面積・都道府県所在地・主要都市など)にはじまり、「地理」「歴史」「学校」「経済」「出身有名人」「ご当地の話題」、そしてよそ者としての見解「ガイチの目」と、各項目とも事細かに記されており470ページもあります。著者は全国を放浪した経歴を持つ予備校講師で47歳です。それほど「47」都道府県が好きなのですね。それにしても新書ながら分厚い。さっそく読みたくなるのが自分の出身地。案外と知らないことも多くて驚きや発見があります。講師だけあり、わかりやすく飽きさせない語り口で、[鉄板ネタ][地雷ネタ]といった面白おかしくも役に立つ情報もあり、思わずにんまりしてしまうことも。大上段に構えた堅苦しい都道府県紹介本とは漂う空気が違います。パートナー、上司や部下、先輩後輩や友達の出身どころを読んで、話のきっかけにするとよいでしょう。実際に会社でやってみたところ、たいへん盛り上がりました。旅行に行く前の情報収集としても役に立ちますね。クイズ王・雑学王を目指す人にも良いかもしれません。もちろんビジネスにも。行ったことのある都道府県から読んでいましたが、まだ足を運んでいないところがたくさんあることに気付きました。日本は広く、奥深いものです。(かつ)

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『死に至る病 あなたを蝕む愛着障害の脅威』

岡田尊司 光文社新書

愛着障害とは、幼少期に両親(とくに母親)の愛情を受けずに育ったことに起因する心身症や生きづらさに苦しむ症状を表します。親によるネグレクトや虐待や価値観の押し付けなどにより、脳の視床下部から産生されるオキシトシン分泌系の働きが弱くなって免疫力が低下、数々の病気にかかったり、鬱や依存といったリスクが高まったりするそうです。しかし共働きの現代において、母親が付きっきりで子どもを育てるのは難しいのではないでしょうか。母乳ではなくミルクを与えることによって愛着障害につながる比率が高くなるとか、保育園に預けて子どもと離すのはよくないなど、読んでいるうちに「そうは言っても……」とだんだんイラッとしたのが本心です。けれど辛抱強く読むうちに、著者はそうした症例を記すことによって、これまでの医者の多くが愛着障害という考えを認めず、安易に病名をあてがって投薬に走り、多くの患者をより悪い方へ向かわせていることを周知させる意図があるのだとわかりました。投薬ではなく「人間と人間の関係性」から愛着障害を克服することができるのです。肉体・精神的に「死に至る病」である愛着障害に苦しむ多くの人たちを救いたいという思いが伝わります。(いく)

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