ぷれす通信

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読んだら書きたくなりました vol.91

『村上朝日堂 はいほー!』

村上春樹 新潮文庫

『村上朝日堂』『村上朝日堂の逆襲』に続く、シリーズ第3弾。村上さんが30代の頃に書き記したエッセイです。久しぶりに本屋さんで手にとってみたら、昨年改刷で文字拡大版になっていました(書店によってはまだ旧版が置いてあるところもあり)。バブル崩壊前の時代ということで隔世の感もありますが、例えば「白子さんと黒子さんはどこに行ったのか?」にみる、共同幻想としてあった善悪の基準が相対化され、商品パッケージ化した現代についての考察は、いまも私たちに投げかける問題であります。また、不動産バブルに浮かれた人たちに対して「ノオ」を突き付けた「スコット・フィッツジェラルドと財テク」には、称賛の拍手を送りたくなります。他にも、音楽に造詣の深い村上さんならではのジム・モリソンやビリー・ホリデイに関しての記述、そして一体どこにあるのかいまだにその場所(?)を明かさない定食屋さん「うさぎ亭」の話も。例によって、安西水丸さんのイラストレーションがちょっとしたスパイスを加え、ナイスコンビがうかがえます。(かつ)

『ゲッターズ飯田の「五星三心占い」決定版』

ゲッターズ飯田 朝日新聞出版

おなじみ、ゲッターズ飯田さんの占い本。「決定版」とだけあって分厚い。なにせ500頁近くありますから。単一的にグループ分けして占うのではなく、複数のグループに分けることで分析を図ろうとする「五星三心占い」。これまで門外不出だった3つの命数を公開して、かなり細かく自分のことについて理解することができます。誕生日がわかれば、家族やパートナー、友人、職場の人についても知ることができるので、「決定版」の名に恥じない占い大全です。最初は調べることに多少の手間を感じますが、その分、示される占いの結果には深く納得することばかり。自分という人間を客観視するうえで良質な判断材料となりました。ゲッターズさんの「人を取り巻くすべてのことを読み解こう」という思いも文章の端々に感じられます。人間関係や自分の在り方など、人生についてのヒントを得るために役立てられる本です。(いく)