ぷれす通信

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読んだら書きたくなりました vol.45

『日本再興戦略』

落合陽一 幻冬舎

ヨーロッパとアメリカという、明治以降の日本が取り入れた体制の行き詰まりをもとに、今の日本を取り巻く諸問題を新たな角度から見つめ直して、「グランドデザイン=再興戦略」を描いてみせる本です。江戸時代の幕藩体制に範をとり、各藩が生み出した文化の歴史をベースにして、いま話題の仮想通貨のシステムをかぶせ、現在の中央集権国家からの脱却を再興のヒントとして繰り広げます。なるほど、自治体がそれぞれ経済圏を打ち立てれば、国のかたちも変わり、地方の在り方もカラフルに変化していくでしょう。驚いたのは、少子高齢による人口減少をチャンスと捉えていることです。今後、AIによる労働力の代替が起これば、人が少ないことは決してマイナスではなく(人あまりが起こらないから)、ここで先鞭をつけて、次に予想される中国の高齢化社会に向けて、輸出戦略を用意するべきだと説いています。後半は、「政治」「教育」「会社・仕事・コミュニティ」と、テーマごとに具体的な再興戦略が述べられます。いよいよ新しい世代が新しい時代をリードし始めたのだな、と思うこの頃。著者と同世代だけでなく、もっと上の世代の人にも読んでほしい一冊です。私は読み進むにつれ、半ば諦めムードで見ていた自国への期待感が高まりました。最後に、ぞくぞくするようなカッコいいメッセージが書かれています。帯にも記されているので、その文章からこの本を手に取ってみるのも良いかもしれません。新進気鋭のメディアアーティストであり、研究者かつ実業家であり、大学学長補佐でもある落合陽一さんの最新の著書です。(かつ)

『大人の言葉えらびが使える順でかんたんに身につく本』

吉田裕子 かんき出版

何かを決心する場面、その時「決断した」のか、「腹をくくった」のか、それとも「不退転の決意」だったのか……。決心している点は同じですが、それぞれ意味が少しずつ異なります。この本は「表現力に直結した語彙力を求めている人が多い」という、著者の気づきから生まれたとのこと。確かに、活字離れが叫ばれて久しい昨今ですが、ツイッターやフェイスブックなどで私的な文章を書く機会は意外と多いんですよね。この本は、「笑う」、「頑張る」、「誇りに思う」など使用するシチュエーションごとに複数の言葉をピックアップしています。ピックアップした言葉には例文に加えて、そのニュアンスの理解を助けるイラストもついているので、大変使い勝手がよく、一冊手元にあれば重宝すると思います。(いく)