ぷれす通信

communication

読んだら書きたくなりました vol.32

『架空論文投稿計画』

松崎有理 光文社

論文と言えば、近年だとSTAP細胞について、その真偽が世間を賑わせたことが記憶に新しいですね。実際、厳正な審査を潜り抜ける虚偽論文は後を絶たないようです。本書は、そうした現状を架空の人物、世界をして批判的かつ滑稽に綴った疑似小説です。ソーカル事件など、ところどころ事実が混在しているので単なるフィクションとは捉え難く、妙に真に迫った内容に感じられてとても読み応えがありました。(もん)

『糖質制限で頭がいい子になる三島塾のすごい子育て』

三島 学 かんき出版

山のように登場している健康法のなかで、糖質制限はかなりメジャーな方法の一つだと思います。ただ、どこか大人向けの健康法という思い込みがあったので、本書のタイトルを見たとき、子どもも糖質制限して大丈夫なんだ!? と、ちょっとびっくりしました。でも、子どものイライラや無気力がなくなったなどの実際のエピソードを読み進めていくうちに、糖質ってこんなに悪さをしていたのね、と糖質が子どもに与える影響の大きさに怖くなるほどでした。私は寡聞にして知らなかったのですが、本書を書いた三島学さんは、北九州と東京で三島塾という学習に糖質制限食を併せた指導を行う人気学習塾の塾長さんなのだそうです。糖質制限はもちろんですが、塾でのカリキュラムを子ども自身が決める、その子のペースで進める、家庭学習はリビングで、家族との会話が語彙力や表現力を向上させるなど、子育てと学習の次世代のスタンダードになるのでは、という示唆に富んだ内容でとても勉強になりました。(てつ)