ぷれす通信

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読んだら書きたくなりました vol.25

『昆虫こわい』

丸山宗利 幻冬舎新書

著者の「昆虫愛」がひしひしと伝わってきました。「かっこいいハネカクシ」「かわいらしいヒトダマツノゼミの一種」……見る人が見ればそう思えるのですね。おどろいたのは、吸虫管という採集器具。自分の口にストローのようにくわえて、お目当ての「虫」を採集するのです。もちろん、自分の口の中に虫が入ってくるわけではありませんが、それにしても……好きなんですね。カラー写真がたくさんで、虫の名前がたくさん出てきて、昆虫好きな方にはとても貴重な本になるのではないか、と想像します。今まで昆虫には特に興味がなかった方でも、「キライ」「気持ち悪い」と感じないのであれば、楽しめると思います。著者たちは南米、アフリカ、アジアに採集に行くのですけれど、それはもう、森の奥とか、観光では行かないようなところばかり。時として、熱帯雨林の伐採や児童労働などの様子についての言及があり、考えさせられる一面も。旅行記としても楽しめます。(てつ)

『誰も教えてくれない大人の性の作法(メソッド)』

坂爪真吾/藤見里紗 光文社新書

著者は、「世間に溢れている性の問題を社会的な視点から分析し、事業や書籍の形で解決策を提示する」ことに携わっている男性と、産後ケアが専門の女性。特に興味深かったところを2つあげると、性に悩める成人男性に対する処方箋を、「未婚×非正規」など4つの類型に分けて解説しているところ、「夫婦の第一関門」と言われる産後のセックスレスへの向き合い方が書かれているところです。取り上げられている話題は幅広く、ときに気が重くなりますが、著者自らの体験を語っているところに親近感が持てます。多様な性のあり方を認めることは、ひいては自分に偽らない生き方をすること。そのことを認識できる一冊です。(まち)