ぷれす通信

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2016年1月号

年始の赤入れ・疑問出し

初日の出、初詣、初笑い、買い初め、書き初め……(社長の文章とかぶっていますが、偶然です)。初めてづくしの新年。ためしに、最初の赤入れ・疑問出しを「校正初(ぞ)め」とでも言い表してみましょうか。

新たな気持ちでゲラに向かい、今年初めて入れる指摘はちょっと緊張するものです。できれば縁起のよい字を書きたいな、なんて思いながら「よろしくお願いします」とゲラにも新年のご挨拶。

「耕運機」→「幸運期」と赤入れする誤変換を拾うなんて幸先よいですね。

「淡淡」→「坦坦」と疑問出しはまあまあかな。

「飛散」→「悲惨」と修正しなければならないとなると、ちょっとしょんぼりなんかして。

こうして、おみくじのように年始の指摘の文字で、その年の校正・校閲に関する運をみるなんていうのも、案外楽しいかもしれません。「幸運期」だからどんどん挑戦してみよう!う~ん「悲惨」ときたか……例年よりも慎重を期さなきゃ、なんて。皆さんはどんな校正初めでしたか?

今年も抜かりなくゲラをチェックして、なおかつ学び多き一年にしていきたいですね。

追記:「私の校正初めは、入れかえの校正記号だったのですが、どう解釈するのですか?」などと聞かれてもヤマモトはわかりません。ご自身で読み解いてください。(校閲部長・山本雅範)

「単純な暗記科目」を「知る楽しみ」にできたら…

テレビのクイズ番組の出題:「ベルギーにも温泉があります。その町の名前は?」

うちの子ども:「スパ!」

モータースポーツが好きな方ならご存知でしょう。ベルギーのサーキット、スパ・フランコルシャン。スパは英語で「温泉」の意味ですが、その語源となったのがスパの町だそうです。

こんどは私の出題:「それじゃ、地中海に面した高級リゾートの小さい国は?」

子ども:「モナコ!」

中学1年生のうちの子ども、保育園児の時からF1をテレビで観ていましたので、世界のレース開催地を、けっこう知っています。

しかし、中学校の試験では、社会科でいい点数を取ることができません。単純に覚えることが苦手のようです。理科も「植物のこの部位の名称は?」みたいなのが苦手です。

一方、論理で考える数学や国語の文章題は得意のようです。英語もいい成績で、F1のチームラジオが放送で流れるのを聞いていたから抵抗感がないのかなと勝手に想像しています。

 で、先日、生徒、担任、保護者の三者面談があり、先生から「あと10点取れたらいいね」と言われました。定期考査の成績をよく見ると、英語、数学、国語の文章題はこれ以上伸ばそうったって無理(よくできてる)。暗記科目を伸ばすしかありません(倍増の余地あり……)。

「アブダビやバーレーンのサーキットは砂っぽい。あれは砂漠の砂。乾燥気候だ」「ホッケンハイムの森はシュヴァルツヴァルトの一部」「富士スピードウェイはよく雨が降る。山が近いからかな」みたいなところから始めたらどうだろう。私の趣味は音楽ですが、民族、文化、その移動、融合、社会問題、戦争など、社会科で学ぶ地理や歴史と深い関係があり、それらを知って聞くと、また違って聞こえます。

 社会科も理科も身近なことなので、自分の関心に引っ掛けて、「知ることが楽しみになる」という気持ちで学んでくれたらいいなぁ。(編集部長・渡辺隆)

日本の七十二候を楽しむ―旧暦のある暮らし―

白井明大 著

有賀一広 イラスト

東邦出版/216ページ

ISBN-10: 4809410110

ISBN-13: 978-4809410116

価格:1,600円(税別)


「立春」「啓(けいちつ)蟄」「大寒」など二十四節気はよく見聞きします。

仕事でも、暦の本以外に雑誌の付録のカレンダーなどにも出てくるので身近に感じますが、もう少し詳しく暦について知りたいと思ったときに便利なのが本書。

「七十二候(しちじゅうにこう)」は、1年を約15日ごとに分けた二十四節気をさらに細かく約5日ごとに「初候・次候・末候」と3つに分けたもの。本書はそれをもとにした「自然の流れによりそう旧暦のある暮らし」(「はじめに」より)がテーマとなっています。

例えば1月は、二十四節気では「小寒」「大寒」の頃ですが、七十二候では「芹乃栄う(せりさかう)」「水泉動く(すいせんうごく)」「鶏始めて乳す(にわとりはじめてにゅうす)」など、四季折々の出来事がそのまま候の名前となっています。

ちなみに七十二候は、本来は漢字のみで「芹乃栄」「水泉動」「鶏始乳」と表記され仮名をふっていることが多いのですが、本書では漢字仮名交じりで書かれているので読みやすいです。また、候ごとに、候のことばをはじめ、旬の魚介・野菜・草花・野鳥・行事などが柔らかな色彩のイラストとともに紹介されており、季節の移ろいを感じながら読み進むことができます。

間にぺらっと1枚紙が挿入されていて、気がつかないと捨ててしまいそうですが、「毎年異なる日に行なわれる」行事のうち「土用の丑の日」「中秋の名月」「十三夜」の日にちが2013年から10年分書かれています。よく検索するものなので、そばに置いてさっと見られるので便利です。暦に関する本は多くあり、内容も若干異なるので、1つの目安として使うのがよさそうですね。もうすぐ「立春」。本書で少し早い春の気分に浸るのもいいですね。(いわ)