ぷれす通信

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2015年8月号

過去に校正した本が語るもの

先日、5~6年前に校正した本(初校・再校・念校とすべて担当)を手にとってみました。自分が校正した本を読むというのは、なかなか勇気がいるものです(誤植を見つけたらどうしよう!)。

幸い致命的なミスはなかったものの、今だったらもう少しスマートな言い回しにしただろうな、コロケーションをしっかりチェックすべきだったな、などと悔しさを覚えました。編集者と膝を交えて作業できたものだっただけに、なおのこと……

しかし、その悔しさは成長の証しでもあります。5~6年間で数え切れないほどの文字をチェックし、文章を読み込み、語感を磨いたがゆえに、過去と現在の力の差が悔しさとして表れたのです。

みなさんも、心血をそそいで校正した一冊を数年後に読んでみてはいかがですか? 著者や編集者や他の校正者の手が入るため、作業したゲラと出来上がった本とでは異なる点もありますが、内容がごっそり変わっていることはないでしょう。たいせつにチェックしたあのフレーズやあのセリフはしっかりあるはず。そこに書かれている文章を懐かしく感じると同時に、校正者としてのご自身の、かけがえのない成長物語を読むことができると思います。(校閲部長・山本雅範)

チーム介護、立場や性格、考え方の違いを乗り越える

久々に介護ネタです。認知症の母の介護は、同居している父が中心介護者、私が比較的近くでサポート、そして妹、ケアマネ、ヘルパー、デイサービススタッフ、ショートステイスタッフ等と、チーム介護状態になっています。これで父の負担はだいぶ減りました。しかし、別の問題も出てきます。人それぞれの立場、性格、考え方の違いで、ぶつかる可能性があるのです。特にプロではない家族内で、その危険は大です。

母の膝の痛みが強かった時、病院に私と父が付き添って行き、整形外科を受診しました。医師はレントゲンで見つかった、痛みの原因かもしれないいくつかの状態を説明し、「いずれにしても痛みは治まるので、その後は簡単な体操を」と、その方法を教えてくれました。

父からケアマネへの報告は「なんともありませんでしたよ。もういいそうです」。私は「原因とか体操とかも伝えたほうがいいのでは」と思ったのですが、その場では言わず、帰宅後、父の外出の間にケアマネに電話し、医師の説明と、教わった体操を伝えました。ケアマネは「体操はデイサービスとショートステイにも伝えて、お母さんに勧めてもらうようにしますね」。次に妹に電話で状況を伝え、「父さんはケアマネへの報告がいいかげんだよ」と言ったところ、「お父さんもたいへんだからさ、何もかもきっちりは無理だよ」と言われてしまいました。

チーム内、特にプロではない家族内では、立場や性格、考え方によって対応や行動が変わりますが、責め合いにならないように注意しています。

自分が正しいからと自分の意見を主張するのもよいのですが、場と状況によりますね。言わずにためたストレスは他のところで解消。

日々の仕事では皆プロのはずですが、やはり相手がどういう立場で、どういう考えをする人で、何をして欲しいのかを読みとることが大切ですね。それができた時に、自分の意見も言えるし、いいチームワークでいい仕事ができるのだと思います。(編集部長・渡辺隆)

この1冊!『NHK間違いやすい日本語ハンドブック』

この1冊!『NHK間違いやすい日本語ハンドブック』

『NHK間違いやすい日本語ハンドブック』

NHKアナウンス室 編集

NHK出版/384ページ

ISBN-10: 4140113200

ISBN-13: 978-4140113202

価格:1,700円(税別)