ぷれす通信

communication

2014年7月号

デッドゾーン ゲラは校正者の商品

なにかと自己アピールが求められる時代。アピールが苦手な方もいるかもしれませんが、校正者もなんらかの形で自分を表現しなければ発注者の目には留まりません。かといって、それは派手なパフォーマンスではなく、校正者の唯一の商品である「ゲラ」をどのようにつくるかということです。

道具は、赤ペンと黒エンピツ(たまには青エンピツも)。これだけで、校正者としての力をすべて注ぎ込み、お客様に「また注文したい!」と思わせるような商品をつくらなければならないのです。

しかし時折、校正者にとっての大切な商品であるはずのゲラが、さも死闘を繰り広げたような代物になっていることがあります。エンピツで指摘を書き殴っていたり、引き出し線を縦横無尽に走らせていたり、別々の指摘が重なって見えたり……、そんなゲラを、さあどうだ! とばかりに突き付けられては、受け取った側は書かれた指摘を一つひとつ拾う気も失くしてしまうというものです。

 確かに「このやろうっ!」と思わせるようなゲラに当たることもあるにはあるんですが……。

それでも、ゲラは校正者としての自分を表現する商品です。赤ペン、黒エンピツ、青エンピツをバランスよく配置することは、時間に追われる中ではなかなか難しいかもしれませんが、それだけ校正者の力量が試されるところでもあります。

美しい商品、すなわち「読みやすいゲラ」を編集者や著者、あるいはDTPのオペレーターに届けることを常に心がけておきたいものです。(い)

この一冊!『漢字の起源』

この一冊!『漢字の起源』

『漢字の起源』

藤堂明保 著

講談社学術文庫/240ページ

ISBN-10: 4061597922

ISBN-13: 978-4061597921

価格 840円(税別)