ぷれす通信

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2013年7月号

デッドゾーン 王道の意味

先日、校正ゲラの中に「王道」という言葉を見つけました。「王道」と聞いて「学問に王道なし」ということわざを思い出す人は多いと思いますが、「『王道』の意味って何?」と聞かれたら、皆さんどう答えますか?

 そのゲラの中で、「王道」は「正しい道」という意味で使用されており、私はそのままスルーしたのですが、ある校正者から「『王道』は『楽な道』『安易な道』であって、この用法はおかしいのでは?」という指摘を受けたのです。

 そこで、手持ちの辞書を当たってみたところ、以下のような結果となりました。

●「明鏡国語辞典」(2010年12月1日第2版)

(1)儒教で、有徳の君主が仁徳をもって国を治める政治の道。「―楽土」(2)安易な方法。近道。「学問に―なし」(3)最も正統的な道。「古典研究の―を行く」

●「学研現代新国語辞典」(2008年1月25日改訂第4版)

(1)王の行うべき道。また、最も正当な方法。「日本酒の―を行く一品」(2)仁徳をもって人民を治める政治の方法。「―楽土」(3)安易な方法。近道。「学問に―なし」

●「新明解国語辞典」(1989年11月10日第4版)

(1)権力・武力によらず、仁徳を基として国を治める方法。(2)らくな・道(方法)「学問に―無し」

●「講談社国語辞典」(1972年9月20日改訂増補版)

徳によって国をおさめること。

 ちなみに、講談社を除くいずれの辞書も、「安易な方法」という意味は「royal road」の訳としています。

 調べてみて、「正しい道」という意味が古い辞書には載っていない点が気になりました。念のため、Yahoo!辞書の「大辞泉」と「大辞林」も見ましたが、いずれも儒教の意味と安易な方法の意味しか載っていませんでした。「正しい道」という意味は比較的新しいのかもしれません。

 聞き慣れてよく知っているはずの言葉も、改めて調べると意外なことがわかるものです。指摘してくれた校正者に感謝!(M)

この一冊!『ちがいがわかる類語使い分け辞典』

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『ちがいがわかる類語使い分け辞典』

松井栄一 著

小学館(2008/4)

B6判/530ページ

ISBN 9784095041773

価格 2,520円(税込)