ぷれす通信

communication

2010年5月号

デッドゾーン 字形類似(5)

先日、某出版社の校閲担当者と「校正ソフト」の話になりました。そう、校正者の“商売敵”です。その会社では導入を真剣に考えたのだそうですが、実際の能力を目の当たりにしてひと言――お話にならない。数字の誤りや単純誤植をまったく拾えなかったそうです。我々も「お宅の仕事は校正ソフト並み」なんて言われないようにしなきゃいけませんね。

「安」⇒「安」(あんみん)

間」⇒「間」(はざま)

抗」⇒「抗」(ていこう)

「折」⇒「折」(せっしょう)

弟」⇒「弟」(とてい)

「豪華絢」⇒「豪華絢」(ごうかけんらん)

弟」⇒「弟」(いとこ)

「自家煎」⇒「自家煎」(じかばいせん)

「満」⇒「満」(まんぷく)

宴」⇒「宴」(きょうえん)

々しい」⇒「々しい」(みずみずしい)

害」⇒「害」(へいがい)

「更」⇒「更」(こうてつ)

然」⇒「然」(ぶぜん)

娘」⇒「娘」(ふじむすめ)

「茅」⇒「茅」(かやぶき)

欲」⇒「欲」(どんよく)

狩り」⇒「狩り」(たけのこがり)

「喇」⇒「喇」(らっぱ)

この一冊!『異体字の世界 旧字・俗字・略字の漢字百科』

この一冊!『異体字の世界 旧字・俗字・略字の漢字百科』

『異体字の世界 旧字・俗字・略字の漢字百科』

異体字の世界 旧字・俗字・略字の漢字百科

小池和夫 著

河出文庫(2007/7)

208ページ/文庫判

ISBN 978-4-309-40857-6

672円(税込)


正字、新字、旧字、古字、俗字、略字、拡張新字体……。みなさんはそれぞれの違いを説明できますか?

校正者にとって深い関わりをもつ漢字ですが、ひとつの字種にどうしてこうも字体のバリエーションがあるのでしょうか。「漢字の歴史が抱える必然」とひと言で片付けてしまうには勿体ないミステリー(?)が隠されていたとしたら!

常用漢字の改定が差し迫っている今、漢字やその字体のナゾを改めて紐解いてみてはいかがでしょうか。肩肘張らず、スタバ(でなくてもよいですが)で読める一冊です。(山)